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免疫学個人授業 多田富雄 南伸坊

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免疫学個人授業 多田富雄 南伸坊 新潮社
(自分が読んだのは、図書館にあった単行本)

 

雑誌の企画で行われた多田富雄の免疫学個人授業(生徒役は南伸坊)を書籍化したもの。

 

この企画が行われた1995年は、阪神淡路大震災地下鉄サリン事件があった年で
内容にも当時の世相が反映されています。

 

免疫学関連の話題と言えば、エイズ後天性免疫不全症候群)が世間一般の関心が高く、「脳内革命」がベストセラーになった時期。

 

一方、ノーベル賞を受賞した利根川進の研究は難しすぎるためか、この本に出てくるのは2行程度。

 

またアトピー性皮膚炎はステロイドとの関連で社会問題になっていたはずですが、
当時は免疫の暴走(アレルギー疾患)と言う認識が一般の人には乏しかったのか
特に言及されていません。

 

アレルギーについては、それほど詳しくは出ていませんが、花粉症やアトピー性皮膚炎に悩む人にとっては、お馴染みのIgE抗体を発見した実験については詳しく書かれています。

多田富雄自身が、助手兼被験者として実験に参加して、人体実験の実験台になってIgE抗体が発見される)
このエピソード以外にも若い頃、研究に夢中になっていた時期の様子が活き活きと語られていて興味深い内容でした。

 

免疫学の授業の部分は先生の講義用のノートではなく、南伸坊のノートをまとめたという形式になってるので、あくまでも読み物であり勉強向きではなさそう。

 

大きな出来事が相次いで起こった20年前の日本を振り返ったり、自己と他者、寛容とアレルギーと言ったテーマを考えてみるには面白い内容でした。

なぜ皮膚はかゆくなるのか 菊池新 PHP新書

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 なぜ皮膚はかゆくなるのか 菊池新(きくちあらた) PHP新書

 

皮膚病になると、つらく、ガマンするのが難しい「かゆみ」


かゆみのメカニズムが解明され始めたのは最近のことで、自分が高校生のころには、「かゆみは痛みの弱い感覚」と現在では否定されている説が紹介されていました。

(ここら辺の詳しい事情も本文中に出ています)

 

この本では、かゆみに関する最近の研究を紹介し、かゆみに悩む人たちへのアドバイスが書かれています。

 

この本を読んだのは2回目。最初に読んだ時は細胞レベルのミクロの世界の話が多くて、あまりピンと来ませんでした。しかし、皮膚やアレルギーに関する本を数冊読んでから読むと、極端に難しい内容と言うわけではなく貴重な内容が多く含まれていると思いました。(かゆみに関して詳しく解説してある本自体が少なく貴重)

 

 

かゆみのメカニズムに関する具体例

 

最初は、それほど「かゆくなかった」のに、掻けば掻くほど、軸索反射で、どんどん「かゆくなる」こと。(かゆみの範囲が広がっていくメカニズム)

 

掻けば掻くほど、皮膚病が悪化して、かゆみも酷くなる「イッチ・スクラッチサイクル」

 

またアトピーに関する最近の本と同様に、かゆみには心理面の影響の大きい「中枢性のかゆみ」も存在し、時には精神科的な治療も必要と書かれています。

 

これらの説明を読むと、自分自身が長年悩まされている「かゆみ」に関しても、
かなりの部分納得できました。

 

 

ただ実際に皮膚病に悩まされている人の場合、以前の自分のように内容がピンと来なかったり、混乱してしまう人もいるかもしれません。
ある程度症状が落ち着いて冷静になった時に読むと色々と参考になりそうです。


関連記事 

皮膚に聴く からだとこころ 川島眞 PHP新書

 

 

知っているようで知らない免疫の話 西村尚子 


 

 

知っているようで知らない免疫の話 西村尚子 技術評論社 2010年 8月 

 

医学よりも生物学的な視点にこだわった免疫の話(科学読み物)


著者の西村尚子は医師ではなくサイエンスライターで、
図書館でも、医学の棚ではなく生物学のコーナーにありました。

 

細菌が、さらに小さいウイルスから自分を守る仕組みから初め、原索動物のホヤ(貝みたいな珍味として食用にされる)、昆虫、植物、鳥類、魚類などの免疫を見て行きます。ヘビやワニなどの爬虫類は、研究しづらく、ほとんど解明されていないとのこと。

 

多くの生物が、ウイルスや細菌がから自分を守る仕組みを持っている一方で、
「同じ感染症に二度かかわらない」という意味での免疫(獲得免疫)を持っているのは一部の生物に限られるとのこと。

 

 

後半は人間の免疫に関する話ですが、基礎的な内容は駆け足で済ませて、
ノーベル賞を受賞した利根川進の研究や、がんの免疫療法、エイズ治療薬、
新型インフルエンザとタミフルと言った最近の話題を中心に取り上げています。
(この本が出版された2010年は、新型インフルエンザが流行した翌年)

 

細胞やウイルスレベルの話が中心で、高校生が、たんぱく質や遺伝子と言った概念に慣れるのにも役立ちそう。

 

すぐに試験を受ける必要がある人や、アレルギーなど免疫関連の病気に悩んでいる人にとっては、実用性に欠けるかもしれませんが、生物が好きな高校生が夏休みに読むのには良さそうです。

小池百合子著 3日でおぼえるアラビア語 学生社

図書館で、たまたま見かけたので借りて来ました。

(この本の存在は知っていましたが中身を読むのは初めて)

 

同姓同名ではなく、今、都知事選で話題の小池百合子氏が30年以上前に書いた本です。

 

エジプトのカイロ大学に留学後、日本に帰国してアラビア語通訳やアラビア語講師をしていた小池氏。(まだ20代の頃)

 

最初は普通に文法を教えていたそうですが、その結果初級コースの受講者は1ヶ月で半減してしまったとのこと。そのため普通の人、時間がない人(アラビア語が専門ではないけれど中東勤務が決まったビジネスマンや、その奥さん)でも挫折しにくい授業を工夫するようになったとのこと。その成果が反映されているのが、本書「3日で覚えるアラビア語」とのことです。


この本の大きな特徴は二つ。

 

一つは日本人にとっては馴染みが薄く敷居の高いアラビア文字を使わずローマ字表記を採用していること。

二つ目は、文法の複雑な標準アラビア語(書き言葉)ではなく、文法が簡略化されているエジプト方言(エジプトアラビア語)を扱っていることです。

 

英語で例えると、英会話を学ぶと言うよりは外国人向けに簡略化されたベーシックイングリッシュのような内容だと思います。

 

 

3日でおぼえるのは無理でも3日あれば最後まで読めそうです。読んでいる人が飽きないように、所どころに皮肉の効いた雑談も挟んでいます。

 

(話題の人の本が図書館にあったので、ブログに書いてみました。)

 

Q&Aでよくわかるアレルギーのしくみ  斎藤 博久 (著)


 

 

Q&Aでよくわかるアレルギーのしくみ ~アトピー性皮膚炎、食物 アレルギー、花粉症、気管支ぜんそくの最新科学
斎藤 博久 (著)

技術評論社


最近の免疫学の進歩によって明らかになったアレルギーのしくみを一般の人向けに解説した本。

 

科学、健康関連のニュースでは、アレルギーを防ぐためには皮膚の保湿が重要とか、食べて治すアレルギーと言った内容が報じられていますが、そうした話の根拠を最新の研究を紹介しつつ説明しています。

 

「アレルギーは皮膚から」「口から入った食べ物はアレルギーを防ぐ働きがある(免疫寛容)」と言うギデオン・ラックの二重抗原曝露説に基づいてアレルギーに関わる様々な現象を体系的に解説しています。

 

食物アレルギーの場合でも、初めはアレルギーを起こす物質が皮膚から入って、それから食べものを食べた場合にもアレルギーが生じるようになると考えています。

 

また清潔な環境が逆にアレルギーを悪化させるという衛生仮説や、最近話題になることの多い遺伝要因に関してもデータに基づいて検証しています。

 

アトピー性皮膚炎の強いかゆみには、黄色ブドウ球菌の毒素が影響しているなど、アレルギー性疾患に関する研究成果も紹介されています。

 

アトピー治療に使われるステロイド薬に関しては、ちゃんと使用することを勧めつつ、将来的にはアレルギーそのものに対する治療に期待している点で、一般的な皮膚科医とは温度差があるかもしれません。

 

この本のテーマは、免疫学の中でアレルギーに関する分野の最近の研究を紹介することです。そのため専門用語も多く難しい部分もありますが、科学読み物として、読み応えのある内容になっています。

 

金属アレルギーとか日光アレルギーと言った(仰天ニュースに出てくるような)マイナーなアレルギーには、ほとんど言及されていないので、患者向きと言うよりは、医学や生物学に興味を持つ人向きの内容になっています。

 

 特に免疫学に興味を持った高校生が夏休みとかに読むと参考になりそうです。

 

 

 

キングジムの開発会議に感心(がっちりマンデー)

少し前ですが、6月12日TBS日曜朝の経済番組、がっちりマンデーキングジムを特集していました。

 

キングファイルなど定番商品もあるものの、主にスキマ狙い(ニッチ市場)の文具メーカーです。

 

スタジオには宮本彰社長が出演。

 

前半は定番商品「キングファイル」やラベルプリンター「テプラ」の紹介でしたが、自分が特に興味を持ったのは番組後半に紹介していた新商品の開発会議の様子です。

 

キングジムでは商品開発の会議は3段階に分かれているとのこと。
(正確な内容は、がっちりマンデー キングジムで検索すれば出てくると思います)

 

第一段階では、アイデアを評価するのではなく、他の人のアイデアを聞いた人も、どんどんアイデアを出していくのがポイント。

 

第二段階では、アイデアそのものではなく自社が強いマーケットの商品なのかに焦点を当てて審査。(キングジムにとってハードルの高すぎる商品やニッチ過ぎる商品は難しい)

 

第三段階では、そこまで残ったアイデアの9割を会社幹部の総意として承認。
ただし、その中の9割は失敗することを覚悟している。
どのアイデアが、成功する1割になるかは、社長でも分からない。

 

 

宮本彰社長のコメント
「みんなで話し合って、いろんな意見を聞くのが基本なんですけど、意見を聞きすぎても、よくない場合もある。いろんな部署の意見を聞くと、だんだんだんだん、あれもこれも取り入れようと本来つくりたい商品と違うものになってたりする。(中略)最初に、こういうものを作りたいって言う思い込みを非常に大切にしたい」


この話は、商品開発だけでなく、自分らしく生きたいと思う人にも参考になると思います。(人の意見を聞きすぎると自分を見失ってしまうなど)

 

普段の人間関係では、何でも話を聞いてくれそうでいて、結局は自分の考えを相手に押し付けてしまう人もいます。
こういう人と一緒にいると、だんだんモヤモヤが溜まってきます。

 

一方、ある程度枠組みはありつつも、その枠内では相手に自由に喋らせてくれる人もいます。人のことをあまり批判せず、悪口なども言わないので、失敗談でも安心して話せる相手です。その上で、こちらの話にも関心を持ってくれる人なら理想的です。

こういう人との人間関係が持てると、自然と、気持ちよく自分らしく生きられるようになると思います。

 

 

学生時代、ある人に「自然な自分になれる友人関係が大切」と言われたのですが、当時は、その意味が、理解できませんでした。

しかし今回がっちりマンデーで紹介されていたキングジムの開発会議には、「自然な自分になれる人間関係」に関するヒントも含まれていたような気がします。

 

皮膚に聴く からだとこころ 川島眞 PHP新書

皮膚に聴くからだとこころ

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著者:川島真
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皮膚(皮膚科、皮膚科学)に関する本は、科学的ではあるものの内容が細かすぎて難しすぎたり、逆に、内容は分かりやすいものの科学的な根拠が曖昧だったりします。しかし、この本は、体と皮膚、心と皮膚の関係を出発点にして、分子レベルのミクロの話から、生活習慣やストレスの話まで、上手く両立させています。


さらに最新の研究から著者の臨床経験や個人的な経験まで幅広い内容が盛り込まれています。

 

皮膚は内臓の鏡と言いますが、それにとどまらず、広い視野とミクロの眼を両立させた珍しいタイプの入門書(皮膚科学入門)

 

皮膚に症状が出る内臓疾患や皮膚感染症、美容皮膚科の話も出ていますが、
最も印象的だったのは、アトピー性皮膚炎に関する第3章。

 

ステロイドバッシングが起こったり食物アレルギーが強調されたのは、アトピー性皮膚炎の病理が良く分からない状況で、ステロイドや食物アレルギーがスケープゴートにされたようなものと考え、その後の研究の進歩について紹介しています。(遺伝要因やバリア機能の障害など)

 

また基礎研究とは別に、臨床現場での経験から心理的な要因がアトピー性皮膚炎に影響していると考えられるようになったことを示しています。

 

金沢大学の竹原和彦教授とともにアトピービジネスを批判する活動を続けてきたとも書かれていますが、竹原教授の本と比べると、穏健派、ハト派という印象を受け、普通の人にとっては受け入れやすい内容だと思います。

 

著者は、これまでの人生を振り返って、がむしゃらに頑張って39歳で教授になったこと、しかし頑張りすぎて体調不良に悩むようになってからは、80点主義で皮膚を初めとする、からだの声に耳を傾けられるようになったこと。

さらに患者の声に耳を傾けることで、より満足できる治療が出来るようになったことを紹介しています。

 

これらのエピソードがアトピー性皮膚炎の心理的要因と合わせて紹介されていて印象的でした。

 

この本を読んだのは2回目ですが(前の記事参照 アトピーと患者の知を読んだついでに、もう一度読んでみました)、新書版で160ページ程度の薄い本なのに、今回も興味深く読めました。見かけよりも内容の詰まっている1冊だと思います。